コラム

【よくある相談】再婚した妻の連れ子には,相続権があるのでしょうか。

【設例】

 私には,現在,家族として妻,息子及び娘がおります。私は初婚でしたが,妻は再婚であり,息子は妻の連れ子でした。娘は私と妻との間の子です。息子とは血のつながりはありませんが,娘同様自分の子として大切に育ててきましたし,今でも家族仲は良好です。私も年をとり,病気がちになってしまい,息子にも娘にも大変世話をかけました。そのため,私に万一のことがあれば,息子にも娘にも財産を残してやりたいと考えています。娘とは血のつながりがあるため相続に問題はないと思うのですが,血のつながりのない息子にも相続権はあるのでしょうか。

 

【回答】

 お子様方がお父様の財産を相続できるかは,お子様方が相続人にあたるかどうかによって決まります。

 

 だれが相続人となるかは民法に定めがあり,被相続人の子は原則として相続人になります(民法887条1項)。

 

 ここでいう「子」とは実の子である「実子」及び法律上の子である「養子」をいいます。お嬢様は実子ですので「子」として相続人にあたることには問題ありません。

 

 しかし,ご子息は再婚した奥様の連れ子で,血のつながりはないということですので「実子」ではありません。そのため,ご子息は「養子」でなければ,法律上お父様の「子」にあたらず,相続人にもあたらないことになります。

 

 奥様との婚姻の際にご子息と養子縁組されているのであれば,ご子息は「子」であるため,相続人にあたります。養子縁組していない場合でも,これから養子縁組をすることにより,ご子息を相続人とすることができます。

 

 ご子息と養子縁組をするには,役所に養子縁組届を提出する必要があります(民法799条,739条)。もちろん,ご子息にも養子縁組をする意思がなければならず,一方的に養子縁組することはできません。

 

 ただし,養子となる者が15歳未満である場合には,法定代理人が代わりに養子縁組の承諾をすることができます(民法797条1項)。本件では,ご子息が15歳未満である場合,奥様がご子息の親権者だと思われますので,親権者である奥様の承諾があれば養子縁組をすることができます。

 

 また,配偶者のいる方が養子縁組をするには,その配偶者の同意を得なければなりません(民法796条)。したがって,ご子息が15歳以上であっても,養子縁組をすることについて奥様の同意を得ることも必要です。

 

 なお,血のつながりのないご子息を相続人とするという意味では養子縁組という方法しかないですが,ご子息に財産を引き継がせる方法としては,養子縁組のほか,遺贈,生前贈与,死因贈与といったように複数の方法があります。

 

 そして,どの方法がベストであるかはケースバイケースであり,ご子息を相続人としたほうがいいのかどうか,撤回ができるのかどうか,法定の方式によらなければならないのかどうか,また,相続税や贈与税の負担はどうなるのかといった点を考慮して判断しなければなりません。

 

 そのため,ご子息を相続人とすることにこだわらず,財産を承継させることに主眼を置くのであれば,相続対策に詳しい弁護士にどのような方法がよいか相談することがよいでしょう。

 

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